夏帆の歌声が教室に響き渡る。
なんて透き通った綺麗な声だろう。
ガヤガヤ話してたみんなも思わず聞き入っている。
相手の人は、中野心。
彼も同じ合唱部らしい。
歌い終わったあと、中野くんは夏帆の頭をポンとした。
あたしは見ちゃいけないものを見た気がした。
夏帆ったら顔が赤くなってる!とってもかわいい彼女の姿から
あたしは夏帆の気持ちを察した。

「おつかれさま~すっごい上手でびっくり!」

「そんなことないよ。でもありがとう。」

夏帆は照れながら言った。まだ顔が赤い。
この話はあとでじっくりしよう、と思った。

「ねえ、海はどうするの?」

そうだ、相手もいないし、あたしはどうすればいいんだろう。
歌わなくていいですってならないかな。
黙ってればきっと、、

「清川さん?この曲知ってます?」

やっぱりだめか、、。

「え?あ、いえ、わかりません。」

嘘をつくのはいけないけど、歌うのはごめん。
きっとこれで歌わなくてすむ、、

「じゃあ練習しておいて。授業ではもう時間とれないから歌えるようになったら放課後にテストします。」

歌わないと決めたあたしに、重い荷物が背負わされた。