何だか帰り道の足取りは重かった。
「なんだよ・・・。この気持ち・・・。」
たかが席替えでなりたい席になっただけのことだ。
何も気にすることなどないのだが・・・。
「あー!!モヤモヤするー!!」
誰もいない河川敷で叫んでみる。
すると、、
「いやー、初めてのわりには上手くいったねぇー。」
「あんなに綺麗に光るのはたいしたもんだよー。よほど、能力を必要としていたんだねー」
背後に淡々と話すのがきこえる。
・・・。能力 !?
俺はとっさに振り向いた。
「あなたは・・・。」
「あれ?やっと気づいた?どう?能力は。」
「え、あ、はい。びっくりしました。」
なぜ俺はこの人の前ではおどおどしてしまうのだろう。
てか、この人、夢にでてきた人だよな・・・。
もしかして夢のことが現実になってる!?
「あ、あの、あなたは夢にでてきた人ですよね?」
訳が分からない質問をしてみた。
「夢?ああ、君は夢のことだと思ってるんだね。あれは現実のことだよ。現実のことだとインプットされてないだけ。」
「そうなんですか・・・。」
と言ったもののまだよく分からないままだ。
「あれぇー!まだ理解してない!?もう・・・めんどくさいなー。」
「すみません・・・。」
「なら、目を閉じて。」
「は!?」
「いいから、いいから!」
言われるがままに、ゆっくりと目を閉じて
いく。
目の前が真っ暗になる瞬間、彼女はこちらに不気味な笑みをうかべた。
――――――――――
目を開けるとまたもやベッドの上。
「はぁ・・・。」
ため息がもれた。
「ってか今何時だろ・・・。」
寝ぼけながらも時計を手に取る。
「って、8時!?やべー遅刻じゃん!!」
慌てて支度をし、家を飛び出した。
今日は朝から朝礼があるため、何が何でも遅刻する訳にはいかない。
学校に着いたのは8時15分。
もう生徒の何人かは体育館に向かっている。
「おい、文瀬。お前遅刻か?」
最悪・・・。学年主任に見つかったし・・・。
「いやぁ、どうでしょう?」
笑ってごまかしてみたが相手の顔はこわばったままだ。
何とかこの危機を乗り越えられねぇかな・・・。
・・・。そうだ。能力を使おう・・・。
しっかり目を閉じて、時間が巻き戻るように祈ってみた・・・。