道がひらけると、そこはいつもの頂上だった。


そして、そのまま狼は心愛を引っ張り続け、登山道へと入っていった。
しばらく下ると、狼が急に止まった。


ぱっと周りを見ると、いつの間にか街の近くまで下ってきたようだ。
ここまで来ると、やっと心愛も安心することができた。


狼は心愛の様子を確認するように見つめると、踵を返して山に向かって走っていってしまった。


「狼さんありがとうっ!!」


心愛は大きな声で、走っていく狼の背中にお礼を言い、自分も家へと走っていった。