今日の応接ルームは人が少なかった。




小さな子達は一緒に遊んでしまっていたから、私は端で1人絵を描いていた。




「今日は、何を描いてるの?」




「逢坂くん……」




スッと隣に座った彼は、私の手元を覗き込んできた。




「あ、今日は人の絵なんだ。

 珍しいね」




「うん、なんとなく、描きたくなったんだ」




イラスト風の、女の子の絵。




紙の中の少女は、笑っていた。




鉛筆で、線を描き足していく様子を、逢坂くんはただじっと見ていた。




「ねえ、里沙ちゃん」




「うん?」




「ここから出て行けたら、何をしたい?」




「え……」




思わず手を止めて、顔を上げた。




逢坂くんは、じっと絵を見ていた。




ここからって、病院だよね。




出て行けたらって……退院ってことだよね。




「え、えーっと……

 とりあえず、幸ちゃんと遊びに行きたい、かなあ……

 でも、どうして?」




「里沙ちゃんにはさ……夢とかあるの?」




「え……ちょ、ホントどうしたの、急に」