私よりも泣きじゃくっている幸ちゃんが、そこにいた。




「幸ちゃん……」




幸ちゃんはダダッと私に駆け寄り、ギューッと抱きついてきた。




ボロボロと涙を零しながら。




「里沙ちゃん……ごめんね……」




「え……」




「ごめんね、ごめんね、ごめんね……!」




「幸ちゃん……」




「ずっと辛い思いさせてごめんね。

 1人にしちゃってごめんね。

 一緒に戦ってあげられなくて……ごめんね……」




幸ちゃんの声は、少し震えていた。




私を抱きしめている腕も、かすかに震えていた。




「私……自分を守ることばっかり考えちゃってて、大事な友達のことを助けられなかった……

 でも、気付いたの。

 先輩からいじめられるよりも、里沙ちゃんと一緒にいられないことの方が……ずっと辛くて、悲しいって」