「なあ、なんでこの絵だけ色がねーの?」
すると、1人の男の子が私達のところにやってきた。
さっき、逢坂くんと話をしてた子だ。
彼は、私の紙を指差して、首をかしげていた。
「なあ、なんで?」
「それは、里沙ちゃんが描いたんだよ。
里沙ちゃん、色塗るのが苦手だから、塗らないんだって」
「ふーん」
男の子は、私の絵を見たまま、サラッと言った。
「つまんねー絵」
「え……」
スコーンっと、その言葉が私の中に入ってきた。
「ちょっと!そんな事言わないでよ!!」
「そうよ!里沙ちゃんの絵はつまんなくないよ!!
美咲達の中で、1番上手なんだから!!」
頬を膨らませて、美咲ちゃん達が男の子に反論する。
でも、男の子は困ったような顔をするだけだった。
「……だけど、やっぱり色があったほうがよくね?」


