私が困っていると、美咲ちゃんと数人の女の子達が、周りに集まってきた。
1人の子が、もじもじしながら私を見上げる。
「えっと……お、おねーちゃん!」
すると、もう1人の女の子が、私の服の裾を遠慮がちに引っ張る。
「ねえ、もっと絵、見せて!」
小さな瞳が、大きな期待を込めて私を見つめている。
それぞれが、白い紙を握り締めて。
「え、ええ……?」
オロオロうろたえてると、逢坂くんがポンッと肩を叩いてきた。
「里沙ちゃん、もっと君の絵を見せてよ。
僕にも、この子達にも」
私の絵が……求められてる……?
ああ、こんなのはいつぶりだろう。
私の絵が見たい、だなんて、そんなことを言ってくれたのは。
今、私の世界に、足を踏み入れたいと思ってくれている人達がいる。
ちょっと大げさかもしれないけど……嬉しい。
「……よーし、お姉ちゃんが何でも描いてあげる!」
そう言うと、その場はワッと沸きあがった。


