「里沙ちゃん、逢坂くんはさっき……」
看護師さんが、悲しそうな声で話しかけてくる。
だけど、私の耳には入ってこない。
彼のそばまで来て、私は顔を覗き込んだ。
「逢坂くん……ねぇ、私だよ」
声をかけても、返事は返ってこない。
「ねぇ、起きて?
私、明日でいなくなっちゃうから……
最後に、お話しに来たの、だから……」
何を言っても、何度言葉を投げかけても、彼は目を開けてくれない。
やがて、私の視界もぼやけてくる。
嫌だ、私は信じない。
だから、引っ込んでよ涙……!
「お願いだから、返事して……」
ポタポタと目から零れる雫が、シーツに染みを作っていく。
「嫌だ……行かないで……」


