「はっ……はっ……!」




「里沙ちゃん?!

 走っちゃ駄目よ!!」




すれ違う看護師さんの声も気に留めず、走った。




少し足首が痛んだけど、今はそんなこと気にしていられない。




逢坂くん、逢坂くん、逢坂くん!!




病室の前まで来ると、勢いよくドアを開けた。




「逢坂くんっ!」




病室の中は、驚く程静かだった。




お医者さんと、看護師さんが1人ずついるだけ。




他に彼を取り囲んでいる人はいなかった。




「逢坂くん……?」




ベットには、目を閉じて横になっている彼の姿。




ヨロヨロと歩を進めて、ベットに近付いた。