「……ありがとう」




すると、逢坂くんはグイッと私の手を引っ張った。




「きゃっ!」




ポスッと逢坂くんの腕の中に収まってしまった私は、そのまま彼に抱きしめられた。




「お、逢坂くん?!」




「颯」




「え?」




「颯って、呼んで」




泣きそうな声で、そう言う逢坂くん。




で、でもいきなり名前呼びなんてっ……




「む、無理!恥ずかしいよっ……!」




「……そっか」




すると、逢坂くんは腕の力を強めた。




「ねえ、里沙ちゃん、このまま聞いて」




「え、うん……」




「僕、もう1つ、君に隠してた事があるんだ」




「え、なに?」