【矢加部 泪の予想】

僕の親友…大竹雄大は本当にアホだなと思う。

さっきの華ちゃんからのアインだって、絶対に別れ話だろ⁉︎

なのにそれすら気づかない、むしろ、会える喜びをあらわにしながらワックから駆け出していった…。
どんだけアホなんだ…あのチャラ男は…
でも、それもあの男の良いところなのだろう。

3ヶ月前、僕は熊本から親父の仕事の都合で転校してきた。メガネをして、熊本弁を喋る僕を、周りの人は好奇の目で見るだけだった。
そんな時に1人だけ話しかけてきたのが雄大。

第一印象は…クソチャラい…。

明るめの髪色に高身長。成績は底辺だが運動神経が抜群。しかし、マシンガンのごとく発される話が面白すぎて、気づけば常に一緒に居るようになっていた。

そして、彼女が居ると聞いて、どうせチャラチャラしたバカ女だろうと思った。けど、違った。
雄大の彼女… 一ノ瀬華ちゃんは、とっても普通の女の子だった。
黒髪ロングのストレート、斜めに舐めに垂らした前髪、少し高めの身長、目元のホクロが少し色気を誘う、真面目そうな女の子だった。

一目惚れだった。ここまで惹かれた女の子に出会ったのは、初めてだった。しかも、それが、親友の彼女だなんて…

「僕にしとけばえーとに…」

思わず声に出ていた。
はっと周りを見回すが、誰もいない。
良かった。

何回も、何回も思った。
あんな真面目そうな子、チャラチャラ雄大よりも、僕の方が似合っている。周りから見ても、僕と彼女の方がお似合いだろ。

今は雄大の彼女だから、諦めるしかない。
何度だって胸が苦しくなり泣いた。
でも、もし、今日別れるなら?

ー…そん時は…

「遠慮なくねらうけんね」

next▶︎▶︎一ノ瀬華