【大竹 雄大の疑問】

「アイン…今日も未読かよー。萎えー。」

俺の彼女… 一ノ瀬華が風邪で学校を休みだしてはや1週間。長すぎだろ。バカは風邪ひかないっていうけど、華、どんだけ頭いいんだよ…。

アイイイーン

アホみたいな音と共に、華からのアインが届く。
「しゃ!きたあああああ‼︎」

『雄大!せからしかけん勉強の邪魔すっとなら
出て行かんかい‼︎』

一緒にワックで自称勉強会をしていた泪(ルイ)に熊本弁で説教された。

「わりぃわりぃ。華からアインが来たから嬉しくて、つい」

携帯の画面を見ると華から2件の通知が。

華“雄大、返信遅れてほんっとにごめん!”
華“今日の夜、大事な話があるんだけど、カブト
ムシ公園で会えない⁇”

「あ〜治ったんだ〜まじよかったわ〜安心安心
。」

『お、華ちゃん?なんて?』

「なんか、大事な話しがあるから7時にカブトム
シ公園で会えないかって。」

『………お前…それ…』

「ん?」

『いや…なんでもない…』

少しだけ泪の顔が曇った気がした。
ワックシェイクを二杯ものんだから気分が悪いのか?賞味期限が1週間も前の牛乳を余裕で飲み干すあの泪が…珍しい…。

「ん!?7時⁉︎ もう6時半じゃねーか!」
「わりい、泪!先帰る!」

店内を走り出そうとした俺のシャツの裾を泪がつかんだ。

「ぉわっ⁉︎な、なんだぁ!?」

『…雄大…なにかあったら…いつでも僕にアイんンしていいけんね…。」

「おぅ! 華とちゅーしたら報告するわ!」

パッとシャツを離された瞬間、俺は小走りでワックの出口に向かって走る。

やっべえ…帰ってすぐに髪の毛整えねーと!

暗くなるのが遅くなったとはいえ、3月。
街は少しずつ夕焼けに飲み込まれていった。

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