「……あー、もうこんな時間……」


枕元の目覚まし時計は、11時。


夏休み初日だからって、寝すぎたかな。



「おはよ!あんた随分寝たわね!」

「…て、なにしてんの、お母さん」


お母さんはコンロにかけられた蒸し器の前に立っている。


キッチンが暑い。



「今日は仕事休みだからなんか作りたくなっちゃって!思いつきで中華まん作ることにしたの!」

「そ、そうなんだ…」


7月ももう終わるこの時期に、中華まんって…


いや、別にいいんだけど…



とりあえず冷蔵庫から牛乳を出してコップに注いだ。



「そうだ、あんたどうせ暇でしょ?出来たら隼人くんち持ってって」

「ええ!?なんで!?」

「隼人くんのお母さんもいろいろおすそ分けしてくれるじゃない。ほら、この間のチーズタルト、美味しかったでしょ?」


あ、そういえば…

とってもとっても美味しかった…。


「じゃあお願いね!」



昨日のことを思い出す。


隼人、なんか怒ってたし、行きづらいなあ…。