「吉永さん、大丈夫だった?」

「え?」



お昼の休憩のとき、クラスに戻ってきた栗田さんに声を掛けられる。



「さっき聞いたんだけど、Bクラスに絡まれたらしいじゃん」

「あ、うん、大丈夫だよ」


栗田さんは心配そうな顔をする。



「Bクラス、ちょっと気が強い子が多いから。特にナオって子、BクラスのTシャツのデザインしたらしいんだけど、吉永さんが描いたAクラスのTシャツに引け目を感じてるって聞いたから」



あ、さっきナオって呼ばれてたあの子…。



そっか、あの子もデザインしたから、対抗意識で私のこと気にくわないのかな…?



「まあ、なんかあったらすぐ教えてね」

「うん、ありがと…」


栗田さんはまだ仕事があるらしく、戻っていった。



「凛、教室戻るぞ」


隼人に声を掛けられる。


「あ、うん」


気づけば、みんな一旦教室に戻り始めてる。



きっともう何事もないだろう。



自分にそう言い聞かせて、隼人と教室に戻った。