「位置について、よーい…」





パァン!



審判がピストルを打つ音で、選手が一斉に走り出す。


グラウンドはワァッと湧く。



隼人、頑張れ!



…あ。


「一位Aクラス!続いてDクラスに、Cクラス…」



隼人、一位だ!!


すごいよ!!



すごく嬉しくなった。



なんとなく、周りをちらっと見る。


みんな、おお…という顔をして隼人の方を見つめていた。



「続いて第二レースです。Aクラス伊藤、Bクラス三浦、Cクラス松本…」


実況係が第二レースのアナウンスをする。



「伊藤頑張れー!!」

「いけー!!!」


クラスのみんなが、Aクラスの伊藤くんを応援し始めた。



胸がギュッと締まった。



隼人だって、同じように応援された方が嬉しいはずなのに…。



そう思っても、もちろん誰にも言えずに、ただレースを見ていた。