「200メートル徒競走一年男子の部スタートします!第一レース、Aクラス荒川、Bクラス矢田、Cクラス野沢…」



グラウンドはザワザワしてる。


みんなそれぞれ、クラスTシャツを着てハチマキを巻いてる。



ついに体育祭が始まった。



「矢田ー!ぜってー勝てよー!!!」

「がんばれ野沢ー!!!」



他の一年のクラスからは、選手の応援の声が聞こえる。



でも…


私たちAクラスだけはシーンとしていた。



スタート地点にいるAクラスの選手は、隼人。


隼人が怖いからか、誰も隼人のことを声出して応援しない。

栗田さんがいたら声出して応援してそう。


栗田さんは実行委員の仕事で、本部のテントの方にいるって言ってた。



私は…恥ずかしくて、声が出せない。


そんな自分がますます嫌になる。



隼人、頑張って…!


心の中で思うしかなかった。