「よかったな」


Tシャツを配り終えて、体育祭当日のプログラムを栗田さんが説明してる時、隼人が言う。



「え?」

「これでクラスにも馴染めそうじゃん」



そう言って隼人が微笑む。


確かに、みんなと少しは打ち解けられそう。


でも…



「…隼人のおかげだよ」

「ん?」

「隼人がTシャツデザインの役私を推してくれたから」



もし隼人がいなかったら、絶対私はあの時手を挙げられてない。


さっきの瞬間もなかった。



「だから…ありがと」


ずっと言おうと思ってて、やっと言えた。



「…別に、俺は何もしてないし」


隼人はそう言って目を逸らした。