「…行くぞ、凛」



隼人がパッと高田の胸ぐらを離す。


高田はその場に座り込んだ。


その場を去ろうとする隼人に慌ててついていく。



すると、隼人が急に立ち止まった。


そして、振り向いて怖い顔で言った。



「二度と凛に近づくんじゃねーぞ」



「…っ!!」



高田たちは青ざめて、なにも答えなかった。


また、隼人は歩き始めた。


私も、また慌ててついていく。



「は、隼人…っ」


教室のほんの手前まで帰ってきて、隼人に声を掛けた。



「…あ?」

「あの…引かないの?」

「?何が」

「私が中学の頃、避けられてたってこと…」



すごく気になってた。


引かれたんじゃないかって…。



「引くわけねーだろ。てかその中学のヤツ全員シメてやりてーわ」


隼人が機嫌悪そうに言った。



「凛は昔から絵を描くの好きだっただろ?」

「う、うん」

「いつも図工の時間先生に褒められてだろ?」

「…うん」

「その凛の絵をバカにするなんて、絶対許せねえ」



隼人…。


そんなに怒ってくれるなんて思わなかった。



正直、すごく嬉しい。