「そう言えばさ、この学校って小学校一緒のヤツいんの?」

「…えっ?」



今日も周りに注目されながら、一緒にお昼ご飯を食べていると、唐突に隼人が聞いてきた。



「あ、まあ…いる…よ」


「ふーん、誰いるの?」


そう言われ、真っ先に思いついたヤツがいた。



でも私は、思いついてないことにした。



「えっとねー、松田さんとか、木下さんとか、河村くんとか…」

「へー。なんとなく覚えてるわ」

「あっ、そうなんだ!」



真っ先に思い浮かんだのは、高田健人(タカダケント)という男子。


こいつは中学の頃、私の絵を見てバカにした。


そのせいで、私は中学時代、みんなから避けられる羽目になった。



しかも、小学校の頃はやたら隼人を追いかけ回していじめてた。


その頃、私はまだ気が強かったから、なんとか追い返していたのだけれど。



入学する高校が一緒だと知った時の絶望感は忘れられない。


高校で高田の姿を見つけたら、すぐに逃げるようになった。



でも今そんなこと言ったら、私が避けられてたって分かって隼人にまで引かれるかも。


それに、隼人もいじめられてたんだし、やっぱり黙ってた方がいいよね。



「…凛?」


隼人に呼ばれ、ハッとする。



「どうかしたのか?」

「い、いや!なんでもないよっ!」



私は笑って、おにぎりをかじった。