「始めます」

「お願いしまーす」



1限が始まる。



「せんせー」


授業開始直後に隼人が手を挙げた。


みんな、一斉に注目する。


「どうした?」

「俺転入したばっかりで教科書持ってないんで、隣に見せてもらってもいーですか?」

「ああ、見せてもらいなさい」



!?


隼人が机をガタガタと移動させて、私の机にくっ付けた。


「凛、教科書見せて」



授業中呼び捨てはやめてー!!



先生は驚きながらも授業を始めた。


みんなも、目線を前に移した。



「法の精神というのは…」


隼人が頬杖をつきながら教科書をじーっと見る。



なぜか、緊張する。


ノートを取りながらも、隼人が気になって仕方ない。



チラッと横を見ると、意外にも隼人もノートを取っている。


…あ、綺麗な字。

そう言えば書道教室通ってたもんな。



やっぱり、隼人なんだ。