私は咄嗟に思いついたことを引きつった笑顔で言う。


「あの、すっごくオシャレで素敵なピアスだなって思って、思わず見惚れちゃって…」

「…え?」



やばい。


さすがに無理があったか。



お願い、殴らないでー!!!



「どれ?これのこと?」


…ん?


荒川くんが、一番上の、軟骨のピアスを指差す。



「あ、うん…」


とりあえず返事すると、荒川くんはそのピアスを外した。

そして、私の机に置いた。


「じゃーあげる」


!?



くれるの…!?



「えっ!?悪いよ!私ピアスの穴開けてないし!」

「ああ。じゃあ開けてやろっか?」


!!!


なんで急にそんな!?



「まー、とりあえずあげる」


私は呆然とした。


まさか、初対面でピアスくれるなんて思わなかった…。



「ありが…とう…」


お礼を言うと、荒川くんはまた前を向いた。