【短編】今まで書いた寄せ集め恋愛小説

鈴ちゃんは、僕の中で一番怖くて、泣かせたくなくて、そして、一番大切な人だということを彼女を失ってから気づいてしまった。


 鈴ちゃんの本名は、海(かい)塚(づか) 鈴歌(りんか)という。 鈴歌だから鈴ちゃんなんといっても簡単過ぎる渾名(あだな)だなと今頃になって気づく僕は変なんだろうか。


 「悠君、ごはん食べないの?」


 鈴ちゃんは僕のほうを引(ひ)っ切(き)り無(な)しに心配している。 別に心配しなくてもいいのになぁ~と思いながら鈴ちゃんの言葉を聞いている。


 「悠君? 悠君?」


 あー、鈴ちゃんがこんな怠け者みたいな奴を心配してくれてるよ。とかそんなことを考えながら机に突っ伏している。


 「悠君? 起きないと地震にさせちゃうぞ?」


地震? なんのことだかなぁ~。と思いつつ、机に突っ伏して居眠りをしようとしていた僕に鈴ちゃんの地震が炸裂(さくれつ)した。


ガタ、ガタ、ガタ、ガタ。


机が揺れている。


眼前を見ると鈴ちゃんが恍惚(こうこつ)の笑みを浮かべ、机を揺らしていた。


「…鈴ちゃんやめて、起きるから、起きるから!」


必死に鈴ちゃんの地震攻撃を止めさせる。これは頭が危ない。本当にクラクラするよ。


 鈴ちゃんは僕を殺そうとしているのか。というかその行動が分からない。


鈴ちゃんはニコニコと笑いつつお弁当を突っついている。


「悠君、お弁当食べよう?」


「忘れた、というより財布自体忘れた」


「悠君、凄いね?今回で高校入学してから、多分十二回目の財布忘れだよ?」


別に凄くもないけども。


「…悠君、あたしのお弁当食べる? あたしあんまりお腹空いてないから食べなくても平気だよ」


鈴ちゃんは僕にお弁当を勧めてくる。


僕は、そのお弁当の香りに惹かれ、お弁当を頂いた。


これが普段の日常。