あった。


自動ドアの入り口で、背後から羽交い締めにされて連れ去られる姿を、防犯カメラが捉えていた。


別の角度から車のナンバーも確認できた。
黒塗りのワンボックスカーだ。


「盗難車の可能性もありますが、照会できますか??玖美さん」


「やってみるわ!!」


席を立ち、水嶌に連絡する玖美。


「俺のせいで…」


柱を叩いて項垂れる壬言。
肩に手を置く真言。


「大丈夫ですよ。何があっても助けますからね」


兄の手が力強かった。