翌日、日曜。


屋敷に一族が集まった。
一族、といっても、長女の弥生(ヤヨイ)、先日会った次女の環(タマキ)、長男の雅人の三人だ。


弥生は気の強そうなすらりとした女性だ。
雅人は眼鏡姿のインテリ風。


環の孫の大翔もいた。
私を見るなり、


「あんた花屋の…??ハルは!?」


「詳しい話は後で」


「皆さん揃いましたね」


オホンと咳払いする玖美さん。
隣に刑事らしい男もいた。


「捜査課の水嶌(ミズシマ)です。よろしく」


ラグビー選手のような体格のいい、ピシッとしたスーツ姿で眉の太い、濃い顔だ。
40代くらいか。


「早速ですが、佐仲芳子さんと言う方をご存知ですね、皆さん」


「ああ、はい…うちで家政婦をしてくれていました」


「親父を殺して捕まってるんでしょう??ろくでもない女だ」


雅人が暴言を吐く。


「そのことなのですが、我々で改めて捜査し直したところ、意外な事実が発覚しまして」


「と言いますと」


眉がピクリと動く雅人。


「冤罪なんですよ。実は」


わざとらしく言いながら、持っていたビジネスバッグの中から数枚の写真を取り出す。


「一昨年の夏、ここから10キロ離れた芳子さんのご実家近くで撮られたものです」


防犯カメラの映像を引いたものと拡大したものをプリントアウトしたものだ。


「どこからそんなものを…」


弥生が呆れる。