翌日。


大きめの観葉植物の植木鉢を持って屋敷に向かった。


「同じ車に乗るだけで蕁麻疹出るでしょうから、私は自転車で向かいます」


一応気を利かせてそう言ってみたが、


「結構遠い。いいから乗ってけ。仕方ないから乗せてやる」


「本当に大丈夫なんですか??」


後は無言だ。


車はワンボックスタイプの軽自動車で後ろの荷台に商品を乗せる。


なるべく触れないように、窓は開け、窓の上の持ち手にしっかりと掴まった。


チラチラとその横顔を見る。
きれいな顔だ。やっぱり格好いい。


いや待て待て。私が好きになったのは真言さんの方で、こいつではない。


「うっとおしい。チラチラ見るな」


冷たく言い放たれる。
そうだ。やっぱりお兄様だ。


「自惚れないでください。気のせいです」


「可愛くねえ女」


舌打ちする壬言さん。


商店街の裏道を抜け、住宅街を抜け、しばらく畑のある何もない道を走る。入る風は心地よい。


運転席がお兄様なら、楽しいドライブ気分になれたんだろうな。
なんて思いながら車窓から外を見る。


30分も走っただろうか。
一応は舗装された小高い丘の上に一軒の大きな屋敷があった。


「ここだな」