あの翌日から、姿を消した琉生。店の金もなくなっていた。
逃げられたのだ。
そもそも重婚になるので逃げられても問題はないのだけれど。
「店の経営自体、摘発要素があったから、どっちにしても捕まえなきゃいけないんだけど」
玖美さんから言われて、どうやら兄弟がいるらしいアパートを見つけられたのだ。
両親はとうに亡くなったらしい。
どこか行きそうな場所に心当たりはないかと。
けれど。
「なんなんですか!?兄貴とはもう何年も会ってません!!」
突っぱねられた。
「………あのう、妹さん、……ですよね??」
「それが何か」
そう言って、ふん、とそっぽを向く顔は、確かによく見ると女性だった。
どうやら双子の妹らしい。
「……もったいない……」

