そして、
週明けの週刊誌に松嶋の記事が載った。


緋居がクルーザーから茉里を落とす写真と、それまでの父との悪事が公表された。


殺人未遂で逮捕されたことも。


検査で数日入院した茉里には見せなかったけれど。


「大丈夫??」


お見舞いに顔を出してみた。


入院着で髪を横に流して梳かし、上体を起こして振り向いた姿は、いかにもしおらしい病人で、最近見たことがないほど大人しい表情だ。


「…えっと………まき??と、……さき??」


「え"っ!?わかるの!?」


「……ああ、なんやどうも、俺と緋居のことだけすっぽ抜けてるらしいな」


面倒臭そうに頭を掻きながら、松嶋くんが入ってきた。


「何でか知らんが」


「せっかく助けてもらったのに。緋居くんだけならともかく」


「ええけどや、別に。忘れられてもイチからやり直すだけやし」


「……なんか、格好いいね」


沙紀とふたり、思わず拍手したくなった。


「惚れんなや」


「そうよ??取らないでね??」


言って慌てて口を押さえる。


「……あれ??わたし…なんで???」


「そういうことみたいね」


ニヤニヤして松嶋くんを肘で小突く沙紀。