「あっ、いや、えっと」


いろいろややこしい。


「う、うちの常連のお客様のお子さんで、入院してるって聞いて、近くまで行ったからお見舞いに」

しどろもどろだ。
半分は本当のことだ。何とか言い訳できたと思いたい。


真言さんが副業に触れない以上、私の口から迂闊なことは言えない。


「そこの誰かさんとの子供じゃなくて??本当にお客さんの子??」


ここはあしらうべきか。


「まーちゃんは嘘が下手だ。昔から」


少なくとも副業はバレてないみたいだ。むしろそっちにホッとする。


「むしろクビにしたんだから、そっちに乗り換えたらどうだ」


覚えてた!?
むしろ私が忘れてた。


「いい加減にしなさいよ、ふたりとも」


ふう、と真言さんが口を挟む。


「一応、店の権限は僕にあります。帰ってきてくれないと僕が困ります」


舌打ちする壬言さん。


「だとよ、よかったな」


「はいっ!!ありがとうございます!!」


そうするうちに、病院に着いた。