総合病院の院長室にあるパソコンに、メールで脅迫文が送られてきた。ハッキングまでされていた。


持ち主は雇われ院長の葉屋野(ハヤノ)という、恰幅のいい、白髪混じりに髭の、初老の男だ。


慌てて警察に連絡する。


「患者のお子さんの命を最優先にお願いします!!その子は最近手術したばかりで、併発した病気への新薬の投与中なんです」


「新薬と言いますと??」


担当の水嶌が呼び出され、他の数人の刑事と部屋に入る。
あまり大ごとには出来ないけれど、患者には何かあったのかと勘付く者もいる。


「もちろん試用は充分していますが、子供の体なので、こんな事態にならなければ経過は問題ないはずなんですが。発熱の危険も否めないので」


隅の方で話を聞いていた美山が部屋を出る。


ナースステーションに向かうと、妻を呼び出し、人目につかない場所に誘導する。