「それは大変でしたね」


沙紀の部屋で。
今日は彼氏さんの都祁尚志(ツゲ ヒサシ)さんと一緒だった。


世間一般では同性の友達に彼氏はあまり紹介したがらないものだ。隙あらば取られるというイメージが強いようだ。


けれど私には信用があるらしい。


都祁さんは、35歳でIT企業の社長さんをしているそうだ。
名刺ももらった。


185㎝の長身、短めの髪は無造作にセットし、爽やかなイケメンだ。


時計やネクタイはさりげないブランドで、詳しくない私が見ても、お洒落でいいものを使っているのはわかる。


「ホントはさ、会わせたくなかったけど。真来、可哀想だし。話聞いてあげて、男側の意見も聞きたかったからさ」


「……ありがとう」


「真来は、人の彼氏に色目使うような子じゃないから」


まあそれは大きいかな。
現に恋愛経験ほぼナシの、フラれっぱなしの人生だし。


もちろん副業には触れず、あくまで花屋で起きた出来事として相談した。


「たぶんですけど」


缶ビールを一口飲んで都祁さんが。