そして柚希の元にいく間にも、自分で取ろうと頑張っている。
実は高いところも得意ではない。膝が震える。
さて、どうやって。
思ったとき。
風が吹いて、柚希がバランスを崩して外に転がった。
「あっ…??」
「柚希!?」
フェンスの隙間から辛うじて腕を掴んだ。
けれど、思ったより重い。子供って、こんなに重いんだ。
買い物で荷物が多いのに、オンブだの抱っこだのせがまれて、お母さんや腰痛の爺ちゃん婆ちゃんが顔をしかめる気持ちがわかった。
普段からそう重いものも持っていないし、掴むために伸ばした拍子に肘をぶつけるし、離せない重みとコンクリートに擦れた腕が痛い。
「いっ…」
下は果てしなく遠い地面で、アスファルトだ。何階建てだったかな。
いやいや、寒気を出してる場合じゃない。
引き上げなくては。
病院名を照らすライトがあると言っても、日が暮れて、体力も消耗してきた。

