「そういう言い方しかできないから、人が続かないんです」


「大きなお世話だ」


「え"っ!?」


ドアを開けて入ってきた声に振り向いた。
同じ顔が、ふたつ、いや、ふたり。


言葉をなくして固まる私に、


「双子なんです。僕が兄の神前真言(カンザキマコト)、彼が弟の壬言(ミコト)」


「大変かもしれませんが、よろしくお願いします。僕は店番担当で彼は配達と副業担当です」


格好いい。
イケメンだ。この人だ。
後光が見える。
ありがたや。


よく見ると、兄の真言さんは髪をハーフアップにして髭は剃ってある。


壬言さんはもう少し下で全部縛ってる。無精髭がやや長く濃い。
双子で同じ顔でも、似てるようで違う。
性格の現れだろうか。


「見惚れてねえで、さっさと行け」


「お願いします」


壬言さんの方が無愛想で言葉が荒い。
爽やかな真言さんに、にこやかに送り出される。
なんか詐欺だ。