たぶん、だけれど。
むしろ人を拒んでいるのを克服したいのは、真言さんも同じなのかもしれない。


兄として。
弟より先に。


仕事だからと理由をつけて、言い訳をして、相談事を聞くことで、自分の氷を、殻を、慣れさせて解していこうとしているのかもしれないと。


「明日来なければ、行ってみますか、様子見に。息巻いて来るとは思いますけど」


「……はい」


けれど、期待は外れた。
来てはくれなかった。


なんだかほんの少し、裏切られた気分だ。


寂しかった。