そっと抱き締めて、離れた。


「……すみません……」


静かに囁く真言さん。
離れて椅子に座り直す。


「……謝らないでください」


なんと言うべきか。
言葉に詰まる。
ただ、目を見て話せない。


「祖父の提案なんです。『よろず屋』は」


なんとなく二人ともぼんやりしたまま。


「壬言のアレルギーを治す目的もありましたが、人と関わることでその大切さと、困っている人を助けてあげることができればって。……花屋にしたのは亡くなった祖母が花が好きだったのと、入りやすいだろうから」


「そうなんですね」


勇気を出して聞いてみた。


「……私が、本気になったらどうするんですか??」


「……僕に??」


私は見られないけれど、真言さんがこっちをみているのはぼんやりとわかった。


「壬言の代わりでよければ」


「例え双子でも、誰かの代わりになんてなれないことは、わかっているでしょう??」


その気がないのはなんとなくわかった。
理由もわからないけれど、掴みどころがないようで、わかってきた。