「もしかして、職場の人なんですか??この人たち」


後部座席から真島くんに話し掛けられる。


「えっ!?…えっと、まあ…」


「こんなんじゃあ、辞めたくもなりますよね。知り合いの会社、紹介しましょうか??別に、ちゃんとしてるとこ知ってるんで」


「あ"っ!!いやあの…」


その話を今ここで蒸し返されると困る。
真島くんのささやかな抵抗だった。


「な・ん・の・話かな??うん??」


恨めしそうに、背後から首に腕を回される。


「俺たちが大変な思いで探してるさ中に、俺たちがいない、知らないところで、仲良く、そんなお話してたのかな??辞めたかったのかな??辞めてもいいんだぜ??」


いつもと言葉使いが違う。
コワい。
辞めてもいいなんて、思っていることと逆のことを言っているのは何となく分かった。


いいわけないだろう、という顔で。口元がひきつっている。


「こんなバカ女、拾ってくれるところがあればな。」


「待っててもらえませんか??真来さん」


「いやあの、ええっ!?」


なんだこの、降って沸いたモテ期みたいな展開は!?