「ちょっとあんた、バカバカって酷いんじゃないんですか!?」


「あん!?」


壬言さんが、真島くんを睨み付け、また手を挙げようとする。


「私はいいの!!」


止めに入ろうとする。余計なことを言うとまた拗れてしまう。


「だって、悔しいっす!!俺だって真来さんのこと好きなのに、そんな奴にそんな扱いされたら!!」


地雷を踏んだ。
真島くんの襟首を掴むと、持ち上げ、舐めるように見る。


「誘拐犯の分際で、何だあ!?」


舌打ちすると、


「イケメンだからって、こんなガキに背負われて喜びやがって…」


別に喜んではいないけど。
背中とはいえ密着していたのが我慢ならないらしい。
確かに胸は当たっていたけど。


私はそんなことは気にもしていなかったし、何をそんなに怒っているのかわからなかった。


「それくらいにしなさい。警察に行きますよ」


真言さんにたしなめられて、しぶしぶ放す。腕を掴むと後部座席、運転席の後ろに乱暴に押し込むと、並んで乗り込んだ。


私の後ろすら嫌らしい。
私が助手席に乗ることになった。