「ヘアピン?うん!あげる!良かったら使って!?」

『このヘアピン、くれるんですか?』

って意味に解釈した私は、そう答えた。


━━この時、佑くんはどんな顔をしていたっけ?


「……ありが、とう……ご、ざいます……」

消え入りそうな、佑くんの声。

「ど、どーいたしまして!?」

私は顔を背けながら、ブンブンと手を振る。


━━佑くんの言いたい事、本当は違ったんだけど、この時の私には、それに気付いてあげられる余裕はなかった。