私は目を丸くし、どこからともなく現れたその悪魔に問い掛ける。

(そんなの駄目だよっ!)

━ だって、兄の『昴』にはもう、結婚まで約束している恋人がいるじゃん。手に入らないんなら、同じ顔の弟でも良いんじゃない? ━

(いや、さすがにそれは……)

━ 性格が違う位、妥協しなよ。顔も声も同じなんだから。それでいいじゃん? ━

(でも……)

チラッと『杉崎弟』を見る。

私の返事を、黙って待っていた。