……悩む必要なんてないのかも。

騙して付き合ってるんだから、そもそも楽しんでデートなんてする資格、私にはない。

ちゃんと断るべきだ。

「あの……」

「おーい!杉崎ー!ここちょっと手伝ってくれー!」

私が口を開いたのと同時に、佑くんの部署の先輩らしき人が向こうの方から声を上げた。

佑くんが振り向き、その人に向かって、コクン……と頷く。

「あ…あの……」

「……明日の朝…10時に……駅の東口で…待ってます……」

「え?あ……」

そう言い残して、佑くんは去って行った。