好きな人の弟を、利用した

さわっ……と、優しい風が私達の間をすり抜ける。

その風が佑くんの前髪をなびかせ、顔を私に見せた。

その顔を見て、ズキッ!と心臓に針が刺さった様に痛む。


だって、名前を呼んだだけなのに、とても幸せそうに微笑んでいたから。

「……ありがとうございます」

「う、ううん……」

佑くんの顔を見ていられなくて、パッと顔をそらし、また歩き出す。