中学の頃、秘かに想いを寄せていた女の子がいた。

でもその子は昴の事が好きで、僕は呆気なく失恋した。

こんな事は日常茶飯事だったから、『またか……』と簡単に諦める事が出来る様になっていた。


家族の仲は良い。


母親も父親も僕と昴を溺愛してくれていたし、もうそれで良いかな、なんて諦めていた。


高校は、昴とは違う所に進学した。

昴と一緒が嫌だった訳じゃない。

普通にやりたい事が違ったから、自然と進路は別れた。

僕はコンピューターを弄るのが好きだったから、理系の高校へ。

昴は、朝、少しでも長く寝ていたいと言う理由で、家から一番近い高校へ進学した。


高校生活は、穏やかだった。

同じ高校に進学した同級生はいなかったから、僕に双子の兄がいると言う事を誰も知らなかったし、比較される事もなく三年間を過ごせた。

ほのかに恋心を抱いた女の子がいたけど、告白なんかはしないで終わった。