「やぁっと、噂が下火になって来ました」

「ま、『人の噂も七十五日』って言うしね。気にしなくてもその内おさまってたわよ」

ハナちゃんさんが飲み終えたカップに新しく珈琲を注いでくれる。

「あ、ありがとうございます」



あれから一週間。

最初はある事ない事噂が独り歩きしていたけど、気にしないで堂々としていたら、段々と何も言われなくなって行った。

「で?あの近藤さんはどうなってるの?」

ハナちゃんさんの鋭い眼光が、佑くんに向けられる。

そっか。

一度、近藤 和架子は佑くんとここに来てるんだ。

そりゃ、ハナちゃんさんも知っているよね。

「あ……なにもないですよ……」

射る様な視線に耐えられなくなったのか、佑くんは目ををそらし、新しく注がれた珈琲をちびちびと飲んでいる。

「本当?」

佑くんでは信憑性が薄かったのか、私に聞き返して来た。

「はい。本当ですね」

言われて頷く。