それをチャンスと思ったのか、近藤 和架子がニヤッと笑う。

「松山さぁん。この際だからあの噂の真意、ハッキリさせたらどうです?佑くんは身代わりだったんでしょう?」

佑くんの腕からスルリとすり抜け、近藤 和架子は私にグイッと迫って来た。

「昴くんにはフィアンセがいますもんねぇ。どう足掻いたって松山さんに振り向かないし」

「……てよ……」

「だからって、そっくりな佑くんを利用って、人としてどうかと思いますよぉ?」

「やめてよっ!!」

私は、居酒屋中に響いたんじゃないだろうか?と言う勢いで怒鳴った。

実際、店員さんが「どうされました?」と、この座敷に声をかけに来た。

それを見て部長が立ち上がり、店員さんに、

「なんでもありません。ご迷惑おかけしました。少し、部下達の悪ふざけが過ぎた様です」

そう言って、何事もなかった様に襖を閉めた。