「佑くんは知ってるみたいでしたよ?昨日、言ってました。『夏夜さんはそんな人じゃない』って。でもあたし、噂は本当だと思ってます」

「………………」

佑くんもその噂を知っている。

もしかして佑くんは、その噂を聞いて私を避け始めた……?



「松山さん?聞いてますか?」

「……え?……あ、ごめん……」

「とにかく、あたし諦めませんから。それじゃ」

近藤 和架子は、それだけ言い残して屋上から出て行った。

私は、フラ付く体を柵で支える。

そんな噂があるなんて、全然知らなかった。

佑くんでさえ知っているなら、多分周りの人達も知っているのだろう。

「もしかして……」

ハッと気付く。

昨日、凉子と食堂でお昼を食べてた時に感じた視線って……。

「多分、そうだ……」

その噂を聞いた人達の視線だったんだ。