「……何それ。どう言う意味?」

「あれ?知らないんですか?さっきも言いましたけど、今、杉崎 佑の株が急上昇中なんですよ?『能ある鷹は爪隠す。イケメンで仕事も出来て優しくて紳士!』って。女子社員達がこぞって騒いでますよ?単純でバカ丸出しですよね」

凉子が鼻で笑う。

「……そんな……」

知らなかった。

自分の事にいっぱいいっぱいで、そんな事になってるなんて全然気が付かなかった。

「どどどどうしよう、凉子っ!」

ガバッ!と凉子の肩を掴んで前後に揺さぶる。

「知りませんよそんな事ぉぉぉ。てか、離して下さいぃぃぃぃ」

凉子が私の手をペチペチと叩いた。

「ご、ごめん」

手を離すと、もうっ!と凉子が口を尖らせる。