好きな人の弟を、利用した

「弟くんはなんでこんな時間まで?」

そう言えばそうだよ。

もうとっくに就業時間は過ぎてるし、『杉崎弟』の能力なら、残業なんてあり得ないだろうし。

「……あ……その……」

「うん?」

「……お食事に……」

「え?」

「……夏夜さんを……お食事に誘いたくて……」

もごもごと、口ごもる。