「夏夜さん……?」

動かないでいる私を不思議に思ったのか、少し先を歩いていた佑くんが引き返して来た。

「どうしたん……」

言葉を遮る様に、ガシッ!と佑くんの腕を勢いよく掴み、駅とは全く違う方向へと私は歩き出した。

「え……あ、あの……夏夜、さん……?駅は……」

「……………」

混乱する佑くんを他所に、私は何も言わずにグングン歩く。

裏通りに出ると、イルミネーションとは違う光に包まれている通りに出た。


……いわゆる、ホテル街だ。