「……お礼にキスとか、あり得ない……」

絆創膏が貼られたヒザをさすりながら呟く。

「確かになんでもいいとは言ったけどさぁ……」

口元に、手を寄せる。

ハッキリと、感触を覚えてる。

カサカサしていたけど、柔らかく、温かかった。

ぎこちなく触れるだけの、初々しいキス。

少し、震えてた……。

「でも……不思議と、嫌じゃ…なかったな……」

呟いて、ハッとする。

「な、なに言ってんの!?好きでもない人からキスされて嫌じゃなかったとか、どうかしてる!」

頬を、ペチンッ!と軽く叩いた。

流されちゃ駄目なのに!