ゆっくりと離れる、佑くんの唇。

落ちた荷物を拾ってくれて、それを手渡された。

「……じゃあ、気を…付けて……」

そう言って、佑くんは走って行ってしまった。

「…………………………」

その場に、呆然と立ち尽くす、私。


今、何が起きた……?


ふるふると震える手を、唇に当てる。

「…………………え?」

私、佑くんと……?

「……えぇぇぇぇぇっ!!」

住宅街のど真ん中で、私は叫んだ。

遠くの方から、私の声に反応した犬の鳴き声がした。