あしたのうた



「……運命共同体だから、かな」


悩んだ末にそう言うと、芝山さんは脱力してこれ見よがしに大袈裟な溜め息を吐いてみせた。


意味が分からないと呟く芝山さんに、ふ、と苦笑を漏らす。意味なんて分からない方が幸せなのかも、と思い至って、分からなくていいよと返した。自分たちが幸せではないわけではないし、出逢えたことに関してはこれ以上ないくらいかみさまに感謝しているけれど、こうして繰り返す関係をいつまでも続けているのは、他の人からしたらどうなのだろうと考える。


他の人がなんと言おうと、この関係をやめるつもりはないし、寧ろずっと続けばいいと願って、だから約束を交わして、『未来』を恐れていた。そもそもこの関係が終わる時が来るのかどうかは分からないけれど、かみさまが気紛れを起こさないことを祈っている。どちらが気紛れなのかは正直知らないが。


「今度紬にでも聞いてよ」

「そんなん聞けるわけないでしょ」

「俺、疾風に言われたけど」

「……訊いてみる」

「芝山さん案外素直なんだね」


小さく吹き出すと、芝山さんがふいっとそっぽを向く。こういう仕草も疾風に似てるな、と思いながら、時間を確認。もう五時を回って半近くになるが、まだ紬からの連絡は入らない。


「紬、来ないなあ……」


呟くと、ひょいっと器用に片眉を上げた芝山さんが時間訊いてないの、問うてきた。それに頷くと、何かを思い出したのか苦い顔になる。


「委員会なんだよね……急に入ったらしいから、そんなにかからないと思ったのかな、紬。まあ私もそんなにかかるとは思ってなかったけど……確かに遅いかも。でも、先生が先生だからなー」

「あー、そういう、なんていうか、めんどくさい感じなの?」

「うん割と。何があったのかよく分からないけど、こんなにかかるってことはなんかトラブルでもあったのかな。帰り際そわそわしてたから何かと思ってたけど、考えてみたら早くここに来たかったんだ」


最後の台詞に、照れと、安心と。なんとも言えない表情をしていたのか、こちらを見た芝山さんに笑われた。


ちゃんと、紬も楽しみにしていてくれたらいい。何があったのかは分からないけれど、会いたいと思ってくれていたらそれでいい。


「ふーん、妹尾くんも可愛い反応するんだね!」

「可愛い……?」

「いいもの見ちゃったー、疾風に報告しとこ」

「めんどくさくなりそうだからできたらやめてほしいかな?」

「やめると思う?」

「思ってないけど」


疾風ならやめないから、多分芝山さんもやめない。そう思ったのは間違ってはいなかったらしく、元気よく肯定の意を示す芝山さんに諦めを覚えた。多分、対応は疾風と同じでいいはずだ。